【ハインリッヒの法則】実際にあったヒヤリハット事例を紹介!事故が起こる6つの原因とは?
「近頃小さなミスが増えてきている」
「事故がおこる前にリスク対策をしたい
小さなミスが続いてくるといつか大きな事故に繋がるのでは?と不安になる気持ち、わかります。
人が作業している限り100%のミスを無くすのはむずかしいことです。 しかし早めに対策することが大きな事故の防止につながります。
そこで今回は
- 未然に防ぐためのハインリッヒの法則とは?
- ヒヤッとした経験を見逃さないヒヤリ・ハット
- 具体的なヒヤリ・ハットの報告事例
- ヒヤリ・ハットの活用方法
をご紹介。
厚生労働省が作成しているヒヤリ・ハット報告書を最後で共有しています。 気になった方はご活用ください。
ハインリッヒの法則が従業員のみなさんの安全に繋がったら、幸いです。
ハインリッヒの法則はなんのためにある?
「聞いたことがあるけど、どんな法則がよくわからない」
「1:29:300ってどんな意味があるの?」
そんな方のために、ハインリッヒの法則をご紹介します。
ハインリッヒの法則とは?
ハインリッヒの法則とは、アメリカの損保会社の安全技師だったハーバート・ウィリアム・ハインリッヒ氏が発表した法則です。
同じ人間が起こした330件の災害。
そのうち1件は重い災害があったとすると
・29回の軽傷
・傷害のない事故を300回
起こしているというものです。
300回の無傷害事故の背後には
・数千の不安全行動
・不安全状態(事故が発生しうる状態)
があることも指摘しています。
何のための法則?立証されているの?
「法則についてはわかったけどこの比率、本当なの?」
事故に比率があるなんてなんとなく信じられない気持ち、わかります。
ハインリッヒ本人もこの比率について
「鉄骨の組立と事務員で異なっている」
とも言っています。
しかし比率の数字そのものではなく、事故と災害の関係を示す法則として十分に活用できる考え方です。
このハインリッヒの法則で重要なことは、比率の数字ではなく、災害という事象の背景には
・危険有害要因が数多くある
・ヒヤリハットを把握し対応策を考える
・これらのことを理解していることが必要であるということです。
(参照:ハインリッヒの法則(1:29:300の法則)/職場あんぜんサイト/厚生労働省)
ヒヤリ・ハットとは?
重大な事故1件の下には、300件のヒヤリ・ハット(傷害のない事故)があるとお伝えしました。
ではヒヤリ・ハットについてご説明します!
ヒヤリ・ハットの語源
ヒヤリ・ハットは言葉の通り危ないことが起こった際に
「ひやり」
「ハッとした!」
というのが語源と言われています。
実際にケガなどはしなかったものの、危ないと感じた出来事のことをいいます。
アクシデントやインシデントとの違い
似たような言葉に
・アクシデント
・インシデント
があります。
インシデントとヒヤリ・ハット、どちらも意味は似ています。
アクシデント:アクシデントは重大な事件が起きてしまったとき
インシデント:ひやりした体験がなくても使える言葉。重大な事件(アクシデント)となる一歩手前の出来事
インシデントは6つ原因がある
インシデントの代表的な原因は6つあります。 どれか1つが原因のこともあれば、複数の原因が重なってインシデントを引き起こす場合も。
①足りていない
理解や認識が不足しているときに起きやすいです。
他にも
・経験
・知識
・ 技能
・人員
などが不足しているとインシデントの原因になります。
遠藤工業では人員不足を解消する各種ツールをご提案可能です。
②足りているが不注意
ちょっとした不注意が原因となるケースです。
知識や技能は十分でもインシデントにつながります。
③足りているが守らない
業務でのマニュアルや取り決めなどの手順を守らないケース。
せっかく経験や知識に基づいたルールがあっても、それを守らないと意味がありません。
④認識違い
ルールなどを誤って理解している場合が該当します。
正しく理解しようと努力していても、誤っていると結果的にインシデントにつながってしまうんです。
ルールのほかに
・マニュアルの読み間違い
・人の見間違い
なども④に該当します。
⑤疲労や体調不良
ルールを正しく理解をし守ろうとしていても、疲労や体調不良がインシデントを引き起こします。
⑥仕組みに問題がある
そもそもマニュアルやルールに欠けているものがある状態です。
・安全に作業をする仕組みに重大なない
・こなす人員の配置に問題がある
など。
ハインリッヒの法則でよくある勘違い
1:29:300の確率で起こると説明しましたが、よくある間違いとしてこちらがあります。
誤り
類似する事故が330件起きたとき、その1件が重大事故となる
正しい
同じ人間が起こした330件の災害のうち、その1件が重大事故となる
複数の類似した事故の件数ではなく、1人の従業員が330回なにかしらヒヤッとしたことがあるなら
・そのうち29件は実際にケガなどをしている
・そのうち1件が大きな事故に繋がっている
と言う法則です。
ヒヤリハットの具体事例を紹介
事例1:墜落◆安全帯ナシでリフトから落下しかけた
倉庫でオーダーピッキングリフトに乗って棚から商品を選別収集していたところ、墜落しそうになった。
■業種
倉庫業
■作業の種類
配送商品の選別収集(ピッキング)
■ヒヤリ・ハット事例
倉庫でオーダーピッキングリフトに乗ってとき、棚から商品を選別収集していた。
そのとき商品に手が届かず高さ2.45mから墜落しそうになった。
■原因
オーダーピッキングリフトの運転時に、安全帯を使用させていなかった
オーダーピッキングリフトの安全作業に関する教育を行っていなかった
■対策
オーダーピッキングリフトの運転時は、労働者に安全帯を着用させる
(参照:ヒヤリ・ハット事例/職場の安全サイト/厚生労働省)
事例2:落下◆マグネットから吊り荷が落下しかけた
鋼材の吊上げ作業において、吊上げた鋼材のバランスが悪く、マグネットから外れて落ちそうになった。
■業種
その他の金属製品製造業
■作業の種類
金属材料(マグネットによる吊上げ・移動作業)
■ヒヤリ・ハット事例
溶接の仕事をしたあと材料を移動しようとして鉄材(重さ1.2トン)を1t吊のマグネットで持ち上げた。
鉄材のバランスが悪くマグネットから外れ、まくら材の上に落ちそうになった。
■原因
マグネットの能力を超えた鉄材を吊上げようとした
吊り上げ時のバランスチェックが確実でなかった
■対策
吊り荷の重量とマグネットの能力を確認して操作を行うこと
またマグネットは吊り荷の中心につけ、バランスを確認してから吊上げる
(参照:ヒヤリ・ハット事例/職場の安全サイト/厚生労働省)
事例3:切れ◆掃除中に刃に手が触れかけた
帯鋸盤を動かしたまま盤上の清掃をしようとして、帯鋸盤に手が近づき、回転している刃に手が当たりそうになった。
■業種
製材業
■作業の種類
帯鋸盤(切断)
■ヒヤリ・ハット事例
製材工場で帯鋸盤を使用して製材中。
1つの材料が終了し次の材料に取り掛かるまでの間、帯鋸盤を動かしたまま盤上のゴミを取り除こうとした。
その時、回転している刃に手が当たりそうになった。
■原因
帯鋸盤の清掃手順を守らず、帯鋸盤を停止せずに盤上の清掃をしようとした
■対策
鋸盤周辺の清掃は、手順を守って必ず電源スイッチを切り、停止させた状態で行うこと
(参照:ヒヤリ・ハット事例/職場の安全サイト/厚生労働省)
ハインリッヒの法則の活用法
「ハインリッヒの法則がわかったけど、どうやって職場の安全にいかせばいい?」 とお悩みの方は次の手順でやってみるのがおすすめです。
1、ヒヤリ・ハットの共有、報告書の作成
周りが気がついていないだけで、仕事をしていて
「うっかりしてた!」
「もう少しでケガをするところだった」
ということが日々起きています。
これらの
・この作業でヒヤっとした
・ケガをする直前でハッとした
ことを職場で共有しあいましょう。
共有する方法として報告書の作成をおすすめします。
厚生労働省からヒヤリ・ハット報告書の雛形をダウンロードすることもできますよ。
(参照:ヒヤリ・ハット報告書/厚生労働省)
<報告の方法>
・ヒヤリハット体験者
・想定ヒヤリ提案者
が報告書を作成し て安全担当に提出する。
(報告書の作成・提出は、職長が代理でもOK)
報告書の内容は、形式に記入できる範囲でもよいので自由に作成します。
安全対策としてはルールの見直しだけでなく、使用している道具の見直しも含まれます。
場合によってはメーカーへの相談も検討しましょう。
遠藤工業では導入後のサポートにも力を入れています。
ぜひご相談ください。
2、ヒヤリ・ハットの事例を社員で話し合う
ヒヤリ・ハットの報告書を作成することで
・事故原因やリスク要因が明確になる
・対策を立案しやすくなる
など改善や対策に向けて具体的な話し合いがしやすくなります。
そのためにはどんなに小さな事例でもいいので従業員から報告書を定期的に提出してもらいましょう。
そして話し合いをすることで様々な角度から潜在的なリスクを防ぐ対策を考えることができます。
報告だけで終わらせないことが重要です。
3、話し合いはKYT基礎4ラウンド法で進める
KYTの基礎手法にKYT基礎4ラウンド法があります。
KYT(危険予知訓練)は、作業や職場にひそむ危険性や有害性等の危険要因を発見し解決する能力を高める手法です。
・危険のK
・予知のY
・訓練(トレーニング)のT
から言われています。
KYT基礎4ラウンド法による危険予知訓練の進め方は、次表のとおりです。
1R:現場に潜んでいる危険要因を見つけ出す
2R:見つけた危険要因を重要度別に分ける
3R:重要度の高い危険要因の対策案を各自が考えて発表し、話し合う
4R:話し合った結果をチーム共通のルール化する
この流れを意識して話し合いを進めてみましょう。
まとめ
ハインリッヒの法則は同じ人間が起こした330件の災害のうち
1件は重い災害
29回の軽傷(応急手当だけですむかすり傷)
300回の傷害のない事故(ヒヤリ・ハット)
を起こしているというものです。
ヒヤリ・ハットは名前の通り仕事をしていて
「ヒヤッとした」
「ハッとした」
瞬間のことをいい、事故になる一歩手前の出来事のことを指します。
このヒヤリ・ハットを定期的に報告し、危険箇所やできごとを共有・対策することで大きな事故を未然に防ぐことができます。
遠藤工業では、高所で作業する人々が安全にそして自由に作業していただくことを目的とした墜落阻止器具をご用意しております。
職場に小さなミスが増えてきたなと感じることがありましたら、ハインリッヒの法則を思い出していただければと思います。
みなさまが大きな事故なく安全・安心に仕事ができますことをお祈りしております。